【社会保険労務士監修】外国人労働者のマネジメントvol.1



【今後、より外国人労働者は貴重な戦力となる】

今後、人材不足を補う為には、外国人労働者を雇用して、貴重な即戦力となって頂くことが重要です。コロナ渦により外国人労働者の数は一時的に減少しましたが、それでも尚、多くの企業では、外国人労働者の雇用が進んでいます。

しかし一方で、価値観の違いによってトラブルや早期離職に繋がってしまうこともあり、日本人側のマネジメントの難しさを痛感している方も多くいらっしゃいます。多様性が求められる今、企業としてどのような対応を行っていけばよいのでしょうか。


そこで今回は、外国人労働者数の状況や外国人労働者との間で起こりうるトラブルなどご紹介し、未然に防ぐための留意点などをご紹介します。



【意外にも外国人労働者数は過去最高をマーク】

厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況によると、2020年10月末時点での外国人労働者数は 1,724,328 人で過去最高に達しています。

国別では、ベトナム人が最も多く、次いで中国人、フィリピン人となっています。

産業別では、「製造業」が最も多く外国人労働者数の中で28%を占めており、「建設業」、「卸売業、小売業」、「医療、福祉」などでも外国人労働者数、外国人労働者を雇用する事業所数ともに増加しています。コロナの影響で増加率は大幅に減少しましたが、依然として外国人労働者数は多いことが分かります。[参照]厚生労働省000728546.pdf (mhlw.go.jp)




【外国人労働者との間でよく起こる問題】

外国人労働者が社内に増えてくると懸念されるのが、文化の違いによるマネジメントの難しさや労務管理に関するトラブルです。


① 音信普通や失踪、早期退職

実際にあるケースなのですが、外国人労働者の方がある日突然失踪してしまうということがあります。筆者の経験からも、クライアントの建設業で技能実習生として働いていた方が、ある日突然連絡が取れなくなり、社長が驚いていたこともありました。


日本人の労働者であれば、あまり考えられないことなのですが、こういったことがまれに起こります。また、突然失踪するまではいかずとも半年や一年程度で早期に退職してしまうことも多く、採用や育成にかけたコストが無駄になってしまうケースもあります。

しかしこの問題の背景には、最低賃金を大きく下回る賃金や厳しい管理体制に耐えられないということもあり、原因をしっかりと考察する必要があります。


厚生労働省の指針にもある通り、賃金一つとっても、国籍を理由として賃金や労働時間その他の労働条件について、差別的な取扱いをしてはならないと決まられています。

責任の重さが同じであれば同一労働同一賃金は徹底し、長期的に外国人労働者に定着して頂くためにも、受け入れる企業側が彼らの就業環境全体を整え、適切な労務管理を行う必要があります。

[参照]厚生労働省:外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(抄) (mhlw.go.jp)


② 日本の商習慣に馴染めない

「郷に入っては郷に従え」とは言いますが、外国人労働者は、日本独特の商習慣に馴染めないことが多いです。


・就業時間外での飲み会やレクレーションへの参加

・空気を読む

・あまり主張をせず謙虚であるべき

・時には自分が悪くなくても謝るべき

・長時間労働


上記は、外国人である彼らには理解し難いものです。また最近では少なくなってきましたが、残業を良しとする風潮も理解しがたいようです。繁忙期に周りが残業をしていてもサラッと定時に帰宅する外国人も多いです。


彼らに指導をする場合のコツは、「ルールだから」「皆に迷惑がかかるから」という伝え方はせずに、「なぜその必要性があるのか」を合理的に一つ一つ説明するようにしましょう。


「あなたの国ではもしかしたら違うかもしれないけれども、日本人である我々はこういうところを大事にしていて、顧客との信頼関係も日本ではこのように築くのが一般的になっている」

と伝えるなど、きちんと相手の価値観も理解したいと思っていることを示しながら向き合いましょう。


また一方で、これを機に、自社のルールや暗黙の了解を本当に必要なものなのか見直してみることも良いかもしれません。実は意外とその方が、社内の生産性が上がることもあるかもしれません。




【双方の異文化理解の社内研修を行う】

異文化理解力とは、相手の言動の真意を理解し、自分の言動を相手がどう捉えているかを理解することを意味します。育った環境や価値観が異なる人と働くときに、行き違いや誤解を生むことなく、確かな信頼を築く技術のことです。


「異文化理解力」(著者:エリン・メイヤー)によると、日本は、最もハイコンテクストなコミュニケーションを好み、表現は非常に遠回しで、物事をはっきり言わず、相手にもニュアンスの違いを読み取るよう期待する文化です。つまり空気を読んで察することを求める文化ということですね。


一方で、アメリカのように「明快でストレートな表現を好む」ローコンテクストなコミュニケーションが好まれる国も多いのです。日本とは真逆のコミュニケーション方法ですね。

(※この本は今後社内のグローバル人材を育てていくのにも非常に役立つので是非読まれてみることをお勧めします。)


また、パーソル総合研究所のリサーチによると、日本人は、外国人労働者に対して以下のように感じていることが分かっています。


・空気を読んでほしい 70.7%

・自己主張やアピールは強くない方が良い 64.2%

・暗黙の了解を理解してほしい 60.4%

(2020年11月時点)


[参照]パーソル総合研究所、多文化共生意識調査結果を発表外国人材の積極登用・活躍支援がみられる職場は4.1%のみ - パーソル総合研究所 (persol-group.co.jp)



こうしてみると、日本人が外国人労働者に対して、日本の常識の枠で彼らを捉えていることが分かります。確かに日本で働く以上、日本のビジネスをマナーを学び、慣習に合わせてほしいと思う気持ちもわかりますし、間違っていません。外国人労働者側にも当然努力が求められます。


しかし今後、少子高齢化がより進み、人材不足により外国人労働者の方に企業の力になっていただかなくてはいけない状況によりなっていくのです。また社内のグローバル人材も積極的に育成していく必要があります。


その為には、多様性を意識した企業作りを行っていくことが必要になります。

育った国や価値観が違う方との行き違いや誤解を生むことなく、確かな信頼を築く技術を身に着けるためには、日本の常識を一方的に要求するのではなく、まずは日本という国の慣習の世界の中での立ち位置を学び、その上で、相手の国の価値観を理解しようという姿勢、そして良い部分はどんどん真似て取り入れていくということが肝要だと考えます。


社内で異文化理解の研修を行い、お互いの落としどころを見つけ、社員全員が気持ちよく働ける就業環境作りに努めていきましょう。



【まとめ】


いかがでしたでしょうか?外国人労働者数は、コロナの影響もあり増加率は減少しているものの、製造業を中心に2020年10月時点では過去最高となっています。人材不足の業種を中心に、今後もその数は増加していくことでしょう。


今回は、外国人労働者の雇用にあたり、文化の違いから起こりうるトラブルを防ぐために留意すべき点をご紹介しました。日本の商習慣に馴染めずに早期に離職してしまう方も多く、

採用や育成にかけたコストが無駄になってしまうのは非常にもったいないことです。

社内で異文化理解の研修を行い、社員全員が気持ちよく働き、力を発揮してもらえる就業環境を整えていきましょう。


次回は、外国人労働者を部下に持つ日本人のマネジメント側が抱えるお悩みや、MBTI診断を活かした効果的なマネジメント方法等、外国人労働者を受け入れるにあたって、会社全体で目指すべきサポート体制やマネジメント方法についてご紹介します。


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