ユーザベース Q1 2021 好調要因の考察


近年、テクノロジーの急激な進化によりビジネスモデルが変わってきた。ここ数年、売り切り型のビジネスモデルではなく、継続利用を前提にしたサブスクリプション型ビジネスモデル(継続課金モデル)(*英語ではリカーリングと言う)が増加している。皆さんも日々の生活で活用されているであろう動画配信サービス企業のNetflixやオンラインショッピングのAmazonは、サブスクリプション型ビジネスモデルの代表格だと言える。

新ビジネススモデルの増加により、企業業態呼称も変わってきた。サブスクリプション型ビジネスモデルを展開している企業をSaas、Software as a Service企業という。端的に言えば、インターネット経由でソフトウエアを利用できるWebサービスで、プロダクトやシステム自体のサービス提供形態を言う。先に述べたNetflixやAmazonは米国企業だが、日本国内でもSaas企業は存在する。会計ソフトサービスを提供しているfreee、名刺管理サービスを提供しているSansanなどがある。

上記の中で、私が注目しているのが、情報過多の時代において質の高い経済情報コンテンツを継続的に創出し、企業活動の意思決定を支えていている企業である株式会社ユーザベースだ。株式会社ユーザベースは、「経済情報で、世界を変える」というミッションのもと、ソーシャル経済メディアのNewsPicksや経済情報サービスのSPEEDAなどを提供している企業だ。 2021年5月13日、株式会社ユーザベースは2021年第1四半期連結決算の発表を行った。売上高は39.65億円で前年比25%増加、営業損益は7.39億円の黒字 (前年同期2.63億円の赤字)、経常損益は6.77億円の黒字(前年同期3.17億円の赤字)だった。通期予想に対する第一四半期の進捗率は営業利益53.6%で、全体的に好調な結果だったと言えるだろう。同社主力の3サービスであるSPEEDA、NewsPicks、FORCASの内、先2つのサービスに焦点を当てて好調の要因がどこにあるのか考察していきたい。



まずは、SPEEDA事業だ。同事業はビジネスパーソンの情報収集の課題を解決し、企業の進化を加速する経済情報プラットフォームを提供しているサービスだ。売上高は、前年同期比20%増の15.96億円、MRRは前年同期比15%増の4.85億円だった。



好調要因の1つは、解約率の悪化傾向を抑止できたことにある。コロナの影響で、景況感の影響を受けやすい中小規模企業の解約が2020円第二四半期から一定数あったが、レベニューチームが非常に強くなってきているため抑止できたと、と佐久間社長は言う。特に、サービスを継続利用していただくためのサポートを行っているカスタマーサクセスチームを強化し、顧客の成功のために徹底して寄り添う姿勢がチームにいい影響を与えていると言えるだろう。



もう一つは、エキスパートリサーチ事業だ。同事業は、既にSPEEDAを活用している顧客に対して付加価値を与えることができるサービスだ。数字からも分かるように、順調に立ち上がってきているようだ。今後の投資を行っていくため、期待したいところだ。


次にNewsPicks事業だ。NewsPicksは、ソーシャル型経済メディア、ニュースサイトである。ユーザーはピッカーと呼ばれ、メディアコンテンツに対して自由に意見を述べることができる。会員登録者数は、就業人口約6,600万 (*1)の約1割にあたる617万人、有料会員数は18.1万人となっている。本事業における結果は、売上高は、前年同期比54%増の19.38億円、MRR(Monthly Recurring Revenue/月次経常収益) は前年同期比 38%増と2.54億円と好調だった。好調の要因は2つ挙げられる。




一つは、法人事業が拡大したことだ。NewsPicksを法人向けに展開しているサービスのAlphaDriveコンサルティングは、組織活性化や新規事業開発等を支援している。新型コロナウイルスの影響で信頼ある情報へのニーズが高まっただけでなく、企業のDX化やサバイブ方法のヒントを探すための需要が増加したと思われる。 もう一つ、は動画広告だ。NewsPicksの動画番組が認知されてきたことによって、番組スポンサーや広告主向けの動画広告が好調だった。今後は広告単価の値上げも検討段階のため、さらなる成長率の期待度が高いと言えるだろう。

2021年度第1四半期の結果は、主に上記の要因から成ったものだと言える。サブスクリプション型ビジネスモデルは、いかにユーザーを解約させず月額、年額課金してもらうことが重要なため、今後の継続的な成長を遂げるための鍵は、コンテンツ量と人材にあると言える。そのためには、ユーザーを飽きさせないコンテンツ提供とプラットフォームの改善やチーム強化のための人材確保が必須だ。さらなる成長に期待したい。

*1 出典元: 総務省統計局 統計局ホームページ/労働力調査(基本集計) 2021年(令和3年)3月分結果 総務省統計局、統計研究研修所の共同運営によるサイトです。国勢の基本に関する統計の企画・作成・提供、国及び地方公共団体の統計 www.stat.go.jp *2 ABM Account Based Marketing 特定の企業をベースにして実施するマーケティング手法 *資料の出典元: 株式会社ユーザベース 2021年第一四半期 決算資料 [Q1 ハイライト] 売上高39.65億円 (前年同期比 + 25%) 営業損益 7.39億円 (前年同期 2.63億円赤字) 経常損益 6.77億円 (前年同期 3.17億円赤字) EBITDA 8.3億円 最終損益 4.82億円 (前年同期 4.73億円赤字) [KPI] MRR 8.83億円 ARR 106.07億円 (前年同期比 +24%) [プロダクト別] NEWSPICKS 売上高19.38億円 (前年同期比 +54%) MRR 2.54億円 (前年同期比 +38%) EBITDA 3.24億円 (前年同期比 +43%) FORCAS/その他B2B 売上高 4.38億円 (前年同期比 +33%) MRR 1.07億円 (前年同期比 +33%) INITIAL 3,700万円 (前年同期比 +38%) EBITDA 1,200万円 SPEEDA 売上高15.96億円 (前年同期比 +20%) MRR 4.85億円 (前年同期比 +15%) / 解約率 1.3% EBITDA率 34.3% (前年同期比 -5.5%) [通期ガイドライン] 売上高 156億円 (前年比 +13%) 営業利益 13.8億円 (同13.3倍) 経常利益 12.4億円 (前期 2.81億円赤字) [アナリスト予想] 売上高 155億9,400万円 営業利益 14億2,700万円 経常利益 12億9,000万円